今考えても恐ろしくなる連載を一年引き受けたことがある。
映画雑誌「FRIX」==タイトルは NEW YORK STYLE
以前に新潮45で連載を引き受けた時は出版界を知らない時期に編集長からの軽いお誘いに乗ったのだが。
編集長が名編集長だったので、何とか毎月書いていたように思います。
もう、夢中でしたから。
その後「FRIX」の親会社の社長から「NYが舞台の映画を大前さんの視点で」という依頼がありました。
おっここちょいの私はNYと聞いただけで「書いてみたい」とお返事をしてしまいました。
15年くらい前です。
NYが舞台の映画って凄くたくさんあります。NYの景色だけが売りの映画も含めて。
「この映画ってストーリーなんてないじゃん!」セントラルパークやロックフェラーセンターを歩くだけで物語にしてしまうような、
後から考えると騙された!と悔しがったりしました。
けど・・・勿論「ティファニーで朝食を」や「タクシー・ドライバー」「恋におちて」など。
そうです、古い映画ですが、今日リバイバルで1984年の「恋におちて」を観て、その昔映画雑誌に連載をしていたことを思い出しました。
タイトルは”名画の舞台を訪ねて・ニューヨークの香り紀行”というものです。
先ほど観終わってその記事を引っ張り出して結構真面目に書いているじゃない?と過去の自分をほめたりして。
「恋におちて」では重要な舞台になるグランド・セントラル・ステーションから延びる3本の線路の向こうには、様々な世界が広がっている、というサブ・タイトルがついていました。
57丁目のブック・ストアー「リッゾーリー」で本を取り違えて知り合う中年の男女のお話しですが、あのころの57丁目ってあんなに混んでいたのかしら?大勢の人が行きかっていました。
クリントン夫妻がこの鉄道で行く「チャパカ」と言う街に移り住んだと話題になりました。
大人の恋を描くにはこのハドソン川淵を走るハドソンラインが大いに盛り上がるというものです。
ただ、グランド・セントラル駅であんなに二人が出会うチャンスは万に一つ億に一つも”ない”と言うのが現実です。
が物語ですから、電車で偶然会ったりブック・ストアーでこれ又会ったりはないでしょうから。
大人の恋物語もデ・ニーロとメルリ・ストリ-ブだと許せちゃいます。
最後に彼女を追って”グラセン”を走るデ・ニーロは本当にステキでした。実際には駅中でも電車でも
彼らのように再び出会うことは難しいだろう。一日何10万人が行き来しているのだから。