突然知らされた同級生の逝去、私たちの学校は1学年の卒業生の人数が少ないので、すぐに知らされた。
一ノ木真弓さんは学年一美人で、卒業と同時にミスエールフランスになったと聞いていた。
それより余り古いドラマで知らない人が多いと思いますが十朱幸代と一緒に「バス通り裏」というドラマにも出ていた方でした。
すい臓がんで亡くなったとお嬢さんから伺ったが、親一人娘さん一人の家庭で、その娘さんが気丈に振舞っていたが、
その姿に涙しました。
真弓さんは学校時代学んだキリスト教を人生の大半は言って見れば関係ない生活をされたようです。
ただ、死の2年前に川崎の教会で受洗し、キリスト教徒になり、昨日の通夜(キリスト教では前夜式という)
を讃美歌と牧師さんの言葉で送られた。
2年の闘病で亡くなった方と思えない安らかなお顔で、とても綺麗な死化粧、友禅の着物で、
学生時代女優だった彼女を彷彿とさせる美しい死に顔でした。
ずっと考えていました。私が死んだら私の娘は真弓さんのお譲さんの立場なのだなぁ、私はお嬢さんばかり見ていました。
たった一人になってしまう、その心細さを考えて泣けて泣けて。
平均寿命が85~6さいだとしたら、72歳が若いかどうかはさておいて、残された人びとの哀しみを一身に感じた日でした。
キリスト教式の前夜式でしたが、オルガンはいわゆるカラオケ風で、ただ、弾いているだけという味気ないものでした。
勿論教会ではないし、葬儀会館だったので、味もそっけもない録音の音で讃美歌をうたったのですが、
少なくとも私は「いや」です。自分は死んでいてもあれはいただけない。
もっとも私は銀座教会に所属しているからあの素晴らしいパイプオルガンで送ってもらえるからその点は安心です。
人さまの通夜に行って自分の葬儀のシュミレーションをしているなんて不謹慎ですが、
今のうちに娘に言い置いておくことが増えたなぁ、彼女はそういう話は嫌な顔しますが、これだけは「言っておかなくちゃ」と。
真弓さんはご親戚が少なかったらしく、従弟と言う方が挨拶をされましたが、彼女が亡くなる前から頼まれていたそうだ。
風間杜生がコマーシャルをしている本物の花より美しいフェイクの花の宣伝をしていますが、
私はどんなに貧相な花でも「生花」がいい。
昨日の前夜式の花もおかぁさんにくれぐれも頼まれていた好きな花と女優さんだったきれいな写真が飾られていたが、
愛情を持って送っている娘さんの心が伝わりました。
卒業してからずっとクラス会など来ていなかった真弓さん、2年前のクラス会には人を誘うほど熱心に来られて、
クリスチャンになって天国に召された。
若い時、がちがちのキリスト教の学校に行っていても反抗期だったり、普段の生活に追われて、
心まで浸透出来なかった宗教を、がんを宣告されて、神様を考えるようになり、洗礼を受けたと聞いて、
彼女の学生時代を考えるととても意外な気持ちになりました。
人は死を宣告され、何処に救いを求めるのか、一番遠いと思っていたところが近く感じられ救われたのでしょう。
やすらかな旅立ちだったと・・・・心からご冥福をお祈りします。