さっき偶然つけたBS、ねむの木学園の宮城真理子さんのドキュメンタリーが放映されていた。
途中から観たのですが・・・泣いた、泣いた。
彼女は吉行淳之介さんの愛人として世の中では知られていましたが、
そのことにも触れて、彼が70歳で亡くなるまでの生活や、30年以上障害者施設の園長としての彼女を
余すとこなく報じていました。
それにしても美男子の誉れ高い吉行淳之介とちょっとファンシーな宮城真理子さんとはなんだかミスマッチだなぁと思っていましたが、
今日のドキュメンタリーを観て、なんて素敵な人たちだったのか。
ねむの木学園はよくマスコミに取り上げられますが、今回のような素晴らしい足跡を拝見したのは初めてでした。
今彼女は88歳だそうです。
吉行淳之介さんは家庭があり、あちらにはお子様もいらしたようですし、女優の吉行和子さんは彼の妹でしょう。
同じ芸能界で生きていて、さぞ大変だったでしょうね。
吉行淳之介さんは銀座ではめちゃくちゃモテたそうですが、美男子で有名だった彼が持てないはずない。
今流行りの顔ではないですが、いわゆるいい男の典型でしたから。
籍こそ入れてもらえなかったのですが、彼が「野間文学賞」を受賞したときは彼女を連れていったとか。
彼女は真っ白な洋服を着て、初めて公式の席に出たわけです。
彼とは永遠に籍は入れてもらえないとわかって、二人だけで40日の海外旅行をするのですが、
そのとき彼女の弟が亡くなり、二人の仲も堂々巡り、よくある三角関係ですよね。
その上銀座では大もての彼をつなぎとめておくのは大変だったと思います。
しかし、彼女と一緒の時書き上げた書籍は200冊にもなったらしい。真理ちゃんそばにいて甘えながら。
障害者の絵の才能を早くに見つけていた真理子は子供たちに絵を描くことを教え、音楽など素晴らしい教育者になっていました。
その絵の素晴らしいこと!昔山下清の絵が印象に残っていますが、
彼らの絵が吉行淳之介の本の表紙に使われたり、真理子の絵と彼の童話だったり・・・
こんな関係だったらもう愛人とか言わないでもいい関係です。
彼が肝臓がんになったとき聖路加病院に入院するのですが、銀座のネオンが見える部屋をとって、
彼女はほどんど寝ずの看病をしていた、と日野原先生が言っておられました。
ねむの木学園を創設するとき彼と約束させられたことは、3つ。
ぐちはこぼさない
お金がないと言わない
途中でやめない
今ねむの木学園は静岡県掛川にあるらしいですが、その敷地内に吉行淳之介記念館も併設されているらしい。
一度行ってみたい。
これほど尽くした男、吉行淳之介って男の中の男、案外世間では優柔不断なと解釈されがちですが、
彼に限ってはOKかなぁ。
愛する人、先生、師匠、なんといっても彼女の中では死ぬまでいい男なのです。
今こんないい男いないよなぁ。2000年に制作されたドキュメンタリーでしたが、その後も描かれていて、
久しぶりにいい番組でした。